20kWの高出力レーザ切断機を導入しました‼
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今回は、クマガイ特殊鋼が2024年11月に新しく導入した、高出力の20kWレーザ切断機について紹介します。
高出力レーザ切断機とは
高出力レーザは、レーザビームの焦点でのエネルギー密度が高くなるため、より鋼板を溶融しやすくなります。レーザ出力が高い程、切断可能板厚が大きくなります。
レーザ出力は、古くは2kW程度でしたが、4kW、6kW、12kWと徐々に拡大し、今回導入したのは20kWの高出力のものです。
当社で使用している8kWでは最大25㎜程度までの切断でしたが、今回の20kWでは40㎜までの切断を想定しています。
ファイバーレーザ切断機は、CO2レーザ切断機と比較すると初期価格は高いですが、レーザを増幅させるレーザガス(CO2-He-N2の混合ガス)を必要としないことに加え、光学系ミラー、放電管等の交換がなく、ランニングコストが低く抑えられます。
厚手の切断を前提とする高出力の切断機はファイバーが主流になっています。当社導入もファイバーです。レーザ切断はレーザ光をレンズで集光し、その光による熱エネルギーで鉄を溶融しています。
その際、溶けた鉄を排出することが必要で、そのためのガスをアシストガスと言います。このアシストガスに酸素を用いるとガス切断と同じように酸化反応での熱も利用できるので切断板厚の拡大ができます。
高出力レーザにおいても同様で、アシストガスに窒素を使う場合に比べ、切断速度は落ちるものの、厚いものまで切断できます。海外ではアシストガスに空気を使う方法もありますが、コストは抑えられますが外観上問題になる可能性が考えられます。
高出力レーザでは、ビームの絞り込みに限界があり、ある程度のカーフ幅になります。いかにビームを絞るかは技術力になりますが、一方で厚手を切断するときはノロの排出をしやすくするために、ある程度のカーフ幅は必要になります。現状、1㎜程度のカーフ幅を想定しています。
高出力になると使用電力量は増加しますが、一方で切断速度が速くなるため、切断時間が短くなり、切断長当りの消費電力は減少します。さらにアシストガスの消費量も少なくなりランニングコストのメリットがでます。
対象板厚、処理量、初期費用、ランニングコスト、品質、環境などから導入設備の仕様を決めていくことになります。
高出力レーザ切断機のメリット
プラズマ切断機から、レーザ切断機への変更
プラズマ切断機とレーザ切断機の比較で、時間当たりのランニングコストはレーザの方が安くなりますが、切断速度はプラズマが勝りますので、コスト的には逆にプラズマが優位になります。
設備費の初期投資もレーザの方が高いので、それも考慮すると、総コストはプラズマが勝ります。一方、当社はプラズマ切断の夜間運転は行っていないのに対し、レーザ切断機は夜間運転も可能なので、処理能力はレーザ切断機の方が大きくなります。
プラズマ切断機でも高電流化により厚手まで切断可能になっていますが、断面の品質(直角度等)、処理量から同じ板厚であれば、レーザの方が好ましいと考えています。
ガス切断機から、レーザ切断機への変更
ガス切断機とレーザ切断機の比較で、40㎜近い厚手側では切断速度はレーザが倍くらいになりますが、ガス切断は同一製品形状の場合、トーチ本数が増やせますので、ピアス時間が長いことを考慮しても、あるトーチ数で切断時間は同等になります。
ガス切断も夜間運転はしないので、処理量はあがらないこともありますが、概してトーチ本数が多い作業ができればガスが有利になります。
当社では小ロットの注文対応も多く、多本トーチで大量に切断しないケースも多いため、よりガス切断からレーザ切断への変更のメリットが享受しやすくなります。
CO2排出量
レーザ切断時、直接のCO2排出はありません。従って、SCOPE1の排出量はゼロになります。
SCOPE2に関しても高出力レーザ切断機の時間当たりの消費電力は大きくなりますが、時間当たりの切断長はそれ以上に増加しますのでトータルのCO2排出量は抑制できます。
さいごに
クマガイ特殊鋼が2024年10月に導入した、20kWレーザ切断機の内容についてまとめて紹介します。
- メーカー:日酸TANAKA株式会社
- 機種:門型ファイバーレーザ切断機 FMRⅢ 45X-TI20000
- レーザ発振器:YSL-20000 定格出力20kW 消費電力70kVA AC400V仕様
- ベッドサイズ:4600×30550
- 切断可能厚:最大40mm
- マーキング装置:ペイント吹付方式(インクジェット)
今回の切断機は新しい光学ヘッドを搭載しており、切断条件に応じた最適なビーム径に変更することが可能なため、切断機の能力を最大限引き出しています。
また、メカニズムはメーカー非開示ですが、新開発の切断方式で鋼材成分や鋼材表面性状の影響を受けにくくなっているとのことです。
以上、クマガイ特殊鋼が導入した20kWレーザ切断機について簡単に紹介してきました。
当社では切断精度の向上、生産性(夜間運転)、人件費の低減、CO2排出量の削減などの効果を目論んでおります。本格運転を開始したところで、主力機のひとつとして活用していきます。
以下に、レーザ切断後のノロやバリを取り除く、バリ取り機について紹介していますので、ぜひご覧ください。
クマガイの設備情報についてはこちらもご覧ください。
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