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COR-TEN®の表面の使い方について

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COR-TEN®の表面の使い方について

COR-TENのカタログ写真などを見ると、長期間かけてさびが進行した後のものが多いため、COR-TENは素材自体がさびた茶色の状態で供給されると誤解している人も多いようです。


後で示す通り、さびを促進してさびた状態で提供する場合もありますが特別な例です。改めて、COR-TENの使い方について表面の状況に限って説明します。

COR-TENの使い方

COR-TENの使い方については、主に下記の6種類があります。それぞれについて紹介していきます。

  1. 黒皮まま
  2. ショットブラスト、酸洗まま
  3. さび安定化補助処理
  4. さび促進処理
  5. 意匠性
  6. 塗装


1. COR-TENの黒皮まま使用

写真1 黒皮状態

COR-TENの初期状態は一般鋼と変わりません。一般的には熱間圧延時に生成した黒皮と呼ばれる酸化スケールで覆われています(写真1)。カタログにあるような茶色のさびはまだありません。


このまま大気中にさらされて雨水で乾湿を繰り返すと、黒皮の剥がれている部分や割れている部分で地鉄が腐食し、さびが進行します。

やがて黒皮部分が剥がれて全体がさびていくのですが、場所によってさびるタイミングが変わってきますので、全体が均一になるのに時間がかかります。長期ではこの初期のさびの進行の影響はほとんどわからなくなります。

2. COR-TENのショットブラスト、酸洗まま使用

写真2 ショット材表面

上記、初期の不均一性を避けるため、通常は黒皮をショットブラスト等で除去し表面を活性化させ、さびやすい状態にして使用を開始する方法があります。

ショットブラストをかけた状態では普通の鋼材と同じ銀色をしており(写真2)その後、雨濡れするとすぐに黄さびが発生します。


この時の雨濡れ、乾燥の状況で多少さびがまだらになることはあります。また、初期のさびでは、さび汁が周りに流れて汚すことがありますので、必要に応じ排水処理が必要です。これは黒皮ままでも同様です。さびが進行して落ち着いてくると流れさびはほとんど出なくなりますが、長期にはいつの間にか周囲に少し茶色がついてしまうことはあります。


COR-TENの使用法としては最もポピュラーな使い方で、年月とともに自然に色合いが微妙に変わっていくという楽しみもあります。


ショットブラストするタイミングとしては、鋼材発注時に製鉄メーカーに注文して納入してもらう場合や、構造物として屋外に供与する前に実施する場合があります。前者は保管中にさびが進行する可能性があります。ショットブラストにより、黒皮や初期のさびは簡単に剝がすことができます。

3. COR-TENのさび安定化補助処理使用

写真3 さび安定化補助処理 イメージ

上記の初期の流れさびを防止する方法として、さび安定化補助処理というものがあります。


これは、被膜を使うということでは塗装に似ているのですが、塗料が空気(酸素)、水の遮断でさびを防いでいるのに対して、この処理は被膜からわずかに空気・水が浸透し、被膜下でさび化が非常にゆっくりと進展するという方法です。


できたさびは塗膜中に吸収され、流れさびが防止できます。色イメージを写真3に示しますが、初期は保護性のさびに近い色で、見た目では塗装と区別がつきません。色褪せてくるとやや白っぽくなります。


被膜がさびに吸収されて完全に消失していくまで、場合によっては何十年かかることもあります。この間、生成してきたさびと残存被膜が外観上混在する期間があり、まだらに見えるため、景観上問題になる場合があります。塗装が劣化してさびが浮き出してきたイメージになります。


COR-TENの腐食自体はさほど進んでいないのですが、景観上許されないときは、上から被膜の簡易再生処理することも可能です。


商品名では、ウェザーコート®、ラスコールNなどがあります。着色が可能な方法もあります。


さらにさび安定化補助処理のさび化を促進したものがあります。これは、数十年かかっていた被膜との置き換わりを大幅に短縮しようとしているようです。商品名で、ウェザーアクト®などがあります。

4. COR-TENのさび促進処理使用

写真4 さび促進処理(株式会社フロントより)

COR-TENの保護性のさびができるのに数年も待っていられない場合や、流れさびをなるべく少なくするため、処理液でさびを促進させる方法があります。


処理液の内容は開示されていないのですが、初期のさび化が早くなり(写真4)、その後、長期に渡ってじっくりさび化を進行させることになります。商品名で、VINCOR® や RUSTY R.などです。

5. COR-TENの意匠性使用

写真5 意匠性処理(株式会社フロントのHPより)

COR-TENの特性を生かして意匠性を高めたものがあります。


これは、COR-TENに錆び出し剤で錆び出し処理したものやリン酸塩処理後カラーリング(色付け)を施したものを、アクリルなどのトップコートで固めたものです。


写真5は黒っぽく色付けしたものです。保護性さびで腐食を保護する、耐候性鋼本来の使用法とは異なりますが、意匠的には最初からきれいな仕上がりになります。


さびに由来する汚れが気になる室内など、内装材としても使用できます。Super C.F.Cなどの商品名がつけられています。

6. COR-TENの塗装使用

写真6 塗装例(色は自由)

 これは、COR-TENを一般鋼と同じように、塗装して使用するものです(写真6は茶色の例を載せていますが、塗料ですので色は豊富)。


一般鋼では、キズ部等で塗装被膜がなくなった部分から錆が発生しだすと、塗膜と地鉄の境界にさびが進行し、塗膜がめくれあがるように剥がれていくのですが、下地が耐候性鋼だとさび発生部のさびの進行が遅くなり、塗膜へのダメージが小さくなります。


全体を、さびでさびの進行を遅らせているわけではないのですが、部分的に保護性のさびにすることで、塗装の塗り替えを遅らせることができ、結果的にトータルコストが抑制されます。特にさび色の塗料であれば、部分的なさびはより目立たなくなります。


以上、COR-TENの表面に着目した使い方について紹介してきました。COR-TENという素材をどのように料理するかは、お客様の好み次第ですので、色々な方法でお楽しみください。

こちらもご覧ください。

COR-TEN 特設ページ
  • COR-TENはU.S.Steelの登録商標で、日本製鉄の商品です。
  • ウェザーコートは日本パーカライジングの登録商標です。
  • ラスコールNはシントーファミリーの商品です。
  • ウェザーアクトは住金ブリッジ他の登録商標です。
  • VINCORは日本製鉄の登録商標です。RUSTY R.、Super C.F.Cはフロントの商品です。

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